今日も明日も明後日も

アラサーになった者の声を残します

令嬢は家出した。

 

休日、午前5時。令嬢は家出した。

 

 

多感な年齢になった令嬢にとって、習い事を詰め込まれた7日間が繰り返される日々は耐え難くなっていた。

スマホ、カラオケ、SNS……学校で話を聞いたことはあるが触れたことはない。

世間から隔離されたヘルシーな生活が嫌になり、初めて誰にも何も告げず家を出た。

 

 

小遣いなど渡されたことのない令嬢は所持金もなく、ただその身一つで都会の人並みを揺蕩っていた。

スマホショップでスマホを触ってみたが楽しさがわからなかった。ゲームセンターで他人の遊んでいるところを見たが楽しさがわからなかった。

 


自由な令嬢は孤独だった。

 


日も暮れ、空腹感が頂点に達していた。

昼にフードコートで水を飲んだが、その他は何も口にしていない。

 


以前物語で、浮浪者がコンビニで売れ残った弁当を入手している場面を読んだことがあった。

その記憶を頼りにコンビニで店員に申し出るも、譲ってもらえるはずもない。

 


店員とそんなやりとりをしていると、見知らぬ女性が声をかけてきて弁当を買ってくれると言う。

申し訳なさから令嬢が断ると、女性はコーラと揚げた鶏肉を2つずつ購入した。

間違えて2つずつ買ってしまったからと、舌を出しながら差し出してきた。

 


イートインに並んで座ると、女性はいきなり揚げた肉にかぶりつく。

今まで食器でしか物を食べたことがなかった令嬢は驚き、女性を凝視した。

 


曰く、ファミチキは揚げたてを口一杯にして食べるのが一番美味いらしい。

 


真似して令嬢もかぶりつく。

今まで食べた物とは比べ物にならない肉汁。噛む度に食欲を掻き立てる衣のザクザクとした食感。揚げたてで火傷しそうなほどの旨みの塊に、令嬢は衝撃を受けた。

 


隣では女性が音を立てながらコーラを飲んでいる。

グラス以外からコーラを飲むのも初めてだった。

喉に流れ込む炭酸が、ファミチキと合ってまた美味しい。

 

隣で女性が微笑んでいた。

クールでかっこいいお姉さんと言う印象だったが、今はとても暖かく柔らかい印象を受ける。もし姉がいたらこんな人だったらいいな……。

そんなことを考えていると、女性はもう行かなきゃと席を立った。


改めて女性に礼を言い、名前を尋ねると女性は名刺を渡してくれた。

家からそう遠くない、知らない店の名前が書かれていた。

 


その夜、令嬢は家に帰った。

親には激怒された。執事はこっそり明日の夕食は好きな物を出すからと希望を聞かれた。

令嬢は迷わずファミチキとコーラと答えた。

執事は目を丸くしたが、すぐに承知してくれた。

 


翌日夕食を楽しみにしていた令嬢の前には、上品に一口大にカットされ、衣をふやかすためかシェフのオリジナルソースがかけられたファミチキが出てきた。

 


令嬢は頬を濡らしたが、それに気付く者はいない。

昨日とは別の孤独感の中、台無しになったファミチキをナイフとフォークで食べ、グラス入りのコーラを飲んだ。

 


翌日、午前5時、令嬢は家出した。

 

 

その手には1枚の名刺が握られていた。

友達欄。誰か必ず結婚してる。必ず子供を授かっている

ツイッター、ほぼ完全にプロセカ垢になっています。

教え子ともプロセカの話ができて楽しい日々を送っています。

 

が、相変わらず世界は僕の幸せのためだけには動いてくれないわけです。

 

人並みに楽しく幸せに生きているつもりでも。

僕は人間な訳でして、僕以上に幸せな人がいれば一丁前に羨ましくなるものでして。

 

僕以上に幸せな人より幸せになりたい気持ちだけ、油に浸した松明のように膨張しています。

 

 

 

先日、昇進の機会を自ら手放しました。

管理職の職務を教わっていないから。あと一年は今の生徒を教えていたいから。自分でなくてもいいから。前向きな辞令ではないから。

 

それらしく自分を正当化して、偉い人との昇進するかどうかの話し合いの場で断りました。

 

自分のキャリア形成を考えるなら、勝負に出るべき場面でした。

周りの人間は日々、社会人としてのステップを進めています。

結婚、出産、貯金、昇進、株、投資、保険、、etc

対して僕は変化を恐れて、それっぽい理由を並べて逃げています。

 

若いうちの苦労は買ってでもしろなんて言いますが、逃げれる苦労からは逃げたいのが本心。

そして逃げ続けるからいつまでも成長しない。

 

他場所の大学生バイトからは「同い年くらいかと思った」なんて言われます。

その場では「若く見えるってことですね〜」なんてヘラヘラ笑ったけど、きっと器も内面も成長していないだけ。

 

結局大学生から何も変わっていない、身体だけが日々衰えていく人生。

 

何かやらなきゃと思いながら、今の生活で満足な自分もいる。

 

自分がどうしていいか分からなくなって、きっと明日もヘラヘラ生きる。

 

なんて、他者の人生と自分を比較してる夜です。

挑戦した他者と逃げ出した自分を比較して、それでも自分の方が幸せになりたいなんて、どうしようもなく子供らしい願いを込めて、それでもスマホを眺めることしかできなくて。

 

でもきっと人間そんなもん。

多分だけどみんな大なり小なり生きづらさを持ってる。それなりに幸せなんだと自己暗示して生きてる。

 

だから自分も大丈夫。

 

そうやって自分を甘やかしている夜です。

良くない。こんな日は早く寝てしまった方がいい。

何者にもなりきれない

今日、26歳になってから初めて鏡をちゃんと見ました。

 

26になった自分の顔。

見慣れたはずの顔なのに、何とも形容できない居心地の悪さを感じました。

 

その正体がなんなのかは、すぐにわかりました。

 

何者にもなれていない、思っていた自分とは違う自分になっていることです。

 

俳優、声優、ミュージシャン、ブロガー、YouTuber、、、

コネクションも何もないなりに頑張ろうと、何者かになろうと、必死にもがいていた無職の頃。

 

あれからもう2年が経ちます。

 

会社員としてはちゃんとやれています。

それでも何か物足りなさがついて回るような、そんな心地悪さで頭の中がモヤモヤします。

 

鏡を見たときの居心地の悪さ。それはきっと、何もやれていないのに外見だけが老けていっていることへの心の抵抗なのでしょう。

 

阿部サダヲになりたかった。

ここ最近の色々

 

こんにちは、つぁんです。

 

お久しぶりです。

雑記ブログとして続ける予定の当ブログ、めっきり個人ブログと化しました。

 

さて、過去記事で綴りました通り、社労士試験を受けたわけですが、結果の通知が届きました。

 

結果は不合格とのこと。

 

まぁ、、ね。

労働関係の法律一通り知れたから良しとしましょうよ。

ご縁があってホームセンターのオープン関係のバイトしたりMOS取得したりと勉強に付随していい経験もさせてもらったし。。ね。

 

そういえば、や。を三点リーダ[…]みたいな使い方する表現って苦手な人多いらしいですね。

僕は高校生の頃やってたデコログで多用してました。

 

最近何してるかというと、就活の日々です。

3度目の就活ですが今までで一番しっかりやってる気がします。

実際内定もらったりはしてても考え直して辞めたりする程度には真剣に向き合ってます。

内定頂いた御社には大変申し訳ないことをしていますが……。

 

まだまだ中年層以上は勤続年数を気にする方が多いようで、とにかく社会人経験を3年は安定して積むことのできる会社に入ろうと動いています。

 

まぁやっぱ選考過程で落とされることの方が多いですけどね。

 

ネットでよく見る自分の存在価値に疑問を感じ始めるやつ。なりかけてる気がしないでもないです。

凹んでてもいい事ないので適当にゲームやら映画やらで紛らわせてます。

 

やはり人間一人だと病みやすいようで。

職場や学校といった社会との繋がりのない人間が卑屈になったり性格悪くなるのは自然の摂理なのでしょうね。

 

時々棘や毒を孕んだ言葉を人に吐くことがあります。

半年前の僕なら絶対に使わない言い回しを意図的に使ったりしています。

 

このままだと精神衛生上よろしくないです。

早いとこちゃんと働ける会社に出会いたいものです。

君のため、遠回しに僕のため。

こんにちは、つぁんです。

 

遅くなりましたがご報告。

社会保険労務士試験、終わりました。

 

自己採点したところ残念ながら合格には到達していませんでした。

正式に結果が出るのは11月ですが、ぼちぼち社会復帰に動き出そうかと考えています。

 

興味本位で行きたくもないIT企業の説明会に顔を出して見たり、「面接の結果は1週間後に連絡」と言われた会社に2週間待たされて落とされたりしています。

 

カレンダーは無情に流れ、スマホゲーのスコアばかりが伸びる日々です。

 

 

ところで、最近思うところがあります。

 

人のためって何だろう という命題です

 

こんな生活をしていると周りの人から心配やら同情の声をかけてもらう機会があります。

僕のことを想って言ってくれているのでしょうが、人によっては棘を感じたり、腹の立つ言い回しで伝えてくる人がいます。

 

基本的には僕は「自分のことを一番考えているのは本人なのだから周りがとやかく言うことではない。」という考えの人間です。

ですが、その一人一人の思慮深さも考慮するべきなんだろうと最近考えるようになりました。

 

Aさんに対して「俺のことを一番考えてるのは俺なんだからお前は黙ってろ」と思うことがある一方で、Bさんに「あの人なら今の俺にどんな意見をくれるだろう」と思う場面もあります。

 

AさんとBさんの違いは何なのだろう、その差が 思慮深さ ではないかと思います。

 

人のためを想って声をかけること自体は素晴らしいことでしょう。

ですが、問題は内容。

具体的な案を相手に提示するのであれば、自分の考えに相手が及んでいるかどうか、そこを考えた上で提案すべきです。

 

そこまで考えて提案するのが面倒と感じるのであれば、その程度の相手なのでしょう。何も伝える必要はありません。ただ見守っていれば良いでしょう。

 

下手に動かずゆっくり考えろ、とりあえず地元に戻れ、まずはバイトしろ。

 

様々な意見をいただき、非常にありがたいと思う反面、頭の中でモヤモヤしたものを感じたのでここに書き殴っておきます。

 

傲慢な文章ですが、僕のブログなので、まぁ、お許しいただければと思います。

映画の出演権を蹴った話

こんにちは、つぁんです。

 

前回の記事

映画の出演権を獲った話 - 今日もがんばってます

の続きとなります。

筆不精なもので続きを書こう書こうと思いながら今に至ってしまいました。

 

前回、映画の出演オーディションを受けて合格したという記事を書きました。

が、この話には続きがあります。

 

滑舌と動きを褒めていただき、映画への出演は確約されました。

確約はされたのですが、話を聞いていると

・今の僕の実力は映画出演に足るものではない。

・6ヶ月間のレッスンを受けてもらい、6ヶ月後に撮影開始とする。

といった旨の説明を受けました。

 

早い話が「6ヶ月レッスンを受けてみてね、6ヶ月後に映画出演できるレベルに育っていたら撮影開始するよ。」というわけです。

 

なるほどー!これは6ヶ月後になっても「君はまだ実力が足りないから〜」とかって言ってズルズルレッスンを受け続けさせ、レッスン費用数十万を取り続けるパターンのやつや!!

 

そう確信しながら説明を受け続けてみると、妙な点が多々出てきます。

 

レッスンは僕1人ではなく、僕と同じ状況の人(今回のオーディションを受けてレッスンを受けた後、出演確約)何人かと一緒に受けるそうです。

かっこいい言い方をすると共演者です。

 

レッスンの開始日は僕の好きなタイミングで決められるということでした。

説明を受けたのは土曜日で、レッスンは毎週日曜に実施するとのこと。

僕にやる気があるのであれば、翌日すぐにレッスンを始めれるように手配するとのことです。

 

え、次の日からレッスン始めることができるのですか?

3日前に同じオーディションを受けた共演者の方々に、初レッスンの日程を前日の夕方に告知するのですか?

 

担当者にそのことを指摘してみると、「うちはそのへん大丈夫になってるから」の一点張り。

色々と邪推ができます。

 

そもそも、僕はオーディション時の自分の演技にそこそこの自信がありました。

どこが出演するにあたって不足だったのか、聞いて唖然としました。

 

「君は舞台役者?やってたみたいだけど映像作品の経験少ないでしょ?瞬きし過ぎだったよ」

 

はぁ……?

 

大学での経験をエントリーシートに書かなかったので映像の経験が少ないと言われたのでしょうが、放送学科、放送系サークルの出身者で喋り手やってたんですから素人に毛が生えた程度には経験していると自負しています。

 

瞬きって何でしょうね。

僕がやったエチュードは男性同士のカップルの破局シーンで、僕は振られる側でした。

デートに誘われたと思ったら家の鍵を急に返され、別れを告げられる役柄です。

感情表現の一種として瞬きはあえて多くしました。

芝居と思ってもらえなかったようです。

 

実際、映像にする際に瞬きの回数が多すぎるならその程度はその場で指導いただければ直せます。

 

瞬きの回数が多かっただけで数十万かけて半年間のレッスンを受ける価値が本当にあるのでしょうか。

 

僕は映画の出演権を辞退しました。

映画の出演権を獲った話

こんにちは、つぁんです。

 

月一更新になりつつありますね。

もう少し頻度を上げたいところです。

 

ところで、僕は先日とある映画の出演資格を自ら捨てました。

本日はそのお話です。

 

僕は昔から芝居が好きで、今でも映画やドラマのエキストラのアルバイトに登録しています。

 

派遣と同じように事務所に登録して、そこからお仕事を受ける形になるのですが、先日その事務所から「映画製作のオーディションがあるから参加してみないか」とお声かけいただきました。

 

聞いてみると、新人発掘を主な目的としたオーディションということでした。

合格すれば30分ほどのショートムービーのメインキャストとなれるようです。

 

受けるだけなら費用もかからないということなので、せっかくお声かけいただいた話ですし、受けることにしました。

 

オーディションの内容は

  1. 1分間程度の自己紹介
  2. アカペラでの歌唱
  3. エチュード≒即興芝居

の3つです。

 

自己紹介と歌唱は自分なりに無難に終わらせました。(選曲はSEKAI NO OWARIRPG」にしました)

 

問題はエチュードです。

 

2人ペアで短い台本を渡されて、その続きを2人で演じ、1つのシーンを完成させるというものでした。

 

役者たちの場の描写力、表現力でその芝居の方向性も変わるエチュード

相手と自分の技量に差があるほど難しくなります。

片方は熟年夫婦のつもりで演じても、もう片方が付き合って3日目のカップルのつもりで演じてしまうということも起こりうるのです。

 

そんな最悪なケースだけは避けるために、台本に合わせた自然な状況(関係性、場所、季節、時間)だけは事前に決めてから臨みました。

 

おかげで話が破綻することもなく、エチュードも概ね成功です。

 

全ての審査が終わり、最後に結果を受け取りに行く日を事務所の方と相談しました。

 

時間と日にちが決まった時、

2時間くらいかかると思うから、後の予定は余裕持って入れてね」

と言われました。

 

2時間……??

 

結果を通知するだけならそんなに時間はかからないはずです。

ということは、僕の合格は確定していて撮影に関する説明もそのまま行われるということなのでしょうか。

 

変に期待すると逆にがっかりするか。

否、弱気な姿勢で受け取りに行っていたら受かるものも受からん。

いやしかし……

 

首を長くして結果発表の日を待ちました。

そして発表の日。

僕は合格通知を受け取りました。

 

評価点は2点。

まず、全体の滑舌が良かった点。

そして、演技中の細かな動き(身体での感情表現や仕草)が良かった点とのことです。

 

大学でアナウンスを学んでいて良かった!

劇団で芝居していて良かった!!

 

心からそう思いました。

 

このお話には続きはあります。

それはまた後日。